Kazuki.earth

中国トップの超エリート修士プログラム 清華大学Schwarzman Scholarsとは

f:id:kazukiearth:20180818014604p:plain

中国トップの超エリート修士プログラム 清華大学Schwarzman Scholarsとは | 参照: http://www.asiaoptions.org/sneak-peak-schwarzman-scholarship-best-scholarship-china/

  

 

北京大学大学院燕京学堂 日本向け説明会のお知らせ(2023/9/9(土)21:00-22:00)】

kazukiearth.hatenadiary.jp

 

 

 

 

 

 

(記事のはじまり)

たった百数十人の枠に世界中から4000人以上の応募が殺到するSchwarzman Scholars。日本ではまだ全然知られていませんが、中国やアジアに興味があるのであれば、絶対に面白いプログラムです。わたしはライバルプログラムのYenching Academy所属ですが、Schwarzman Scholarsもすごくオススメします!笑 そこで、来年9月に入学のクラスの応募締切が2018年9月末に迫っているので、日本語ではほぼ情報のないSchwarzman Scholarsについてまとめます。

★「なぜ中国なのか」という点については、次の記事でまとめてあるので、そちらを見てみてください:

kazukiearth.hatenadiary.jp

[追記!!]

★Yenching Academyがどのようなプログラムなのかについてはこちらを見てみてください:

kazukiearth.hatenadiary.jp

1. Schwarzman Scholarsの概要

f:id:kazukiearth:20180818014607p:plain

心地良すぎて離れられないというSchwarzman Collegeと清華大学の建物

Schwarzman Scholars (シュワルツマン・スカラーズ)とは、21世紀の新しい政治経済状況に対応できる次世代のグローバルリーダーの育成を目的とした全額奨学金修士プログラムです。アメリカの著名投資家でブラックストーン・グループを創設した会長兼CEOのスティーブン・A・シュワルツマン氏によって、2016年に北京にある清華大学内にSchwarzman Collegeとして設立されました。プログラムは英語で行われ、奨学生は1年間でGlobal Affairsの修士号を取ることができます。Global Affairsといってもとても分野が広いので、奨学生はPublic Policy (公共政策)、Economics and Business (経済学とビジネス)、International Studies (国際学)の中から、自分の専攻を決めます。

このプログラムの特徴は、「21世紀の新しい政治経済状況」というものに注目している点です。「21世紀の新しい政治経済状況」とは、つまり中国が台頭した新しい世界秩序のことです。その中では、「政治であろうと、経済であろうと、科学であろうと、世界中のこれからのリーダーの成功には、世界における中国の役割に対する理解が不可欠である」(“Whether in politics, business or science, the success of future leaders around the world will depend upon an understanding of China’s role in global trends.”)と考えられているため、この状況に対応できる人材を育成するためにSchwarzman Scholarsは創設されました。創設者のシュワルツマン氏は、中国の重要度を強調するために、「21世紀において中国は必須科目である」とまで言っています。

そのため、自分の認識では、Schwarzman Scholarsは「世界が中国を理解するためのプログラム=外から内」といったイメージです。実際、このプログラムは世界中の著名企業やビジネスマンなどの多額の寄付が外から内に(世界から中国に)投入されることで運営されています。あるいは、世界中の優秀な講師陣(アイビーリーグなど)を招いて非常に欧米的なプログラムをやっているようなので、「欧米の超トップ大学の中国校」と考えてもいいかもしれません。一方で、参考までに書いておくと、自分が所属する北京大学のYenching Academy(イェンチン・アカデミー)は、「中国を世界に理解してもらうためのプログラム=内から外」といったイメージです。プログラムの資金も、中国政府や中華系の財団などによって内から外に(中国から世界に)出されることで運営されています。Yenching Academyでは主に北京大学などの中国の優秀な講師陣からより中国的なことが学べるようなので、「中国トップ大学の世界向け校」とも言えるかもしれません。二つのプログラムのこのような違いは、それぞれの修士号にも表れています。Schwarzman ScholarsはGlobal Affairs修士号ですが、Yenching AcademyはChina Studies修士号です。

ただ、どちらも中国と世界、世界と中国をつないで、相互理解、繁栄、平和に貢献するという同様の理念を持っています。そのため、学生の国籍も「意図的に」非常に多様なものにしています(中国とアメリカだけはその影響力の大きさから学生数が比較的多いです)。具体的には、2018年に入学する142人のSchwarzman Scholarsの第三期生は、39カ国・97大学の人々で構成されています。内訳としては、41%がアメリカ人、20%が中国人、39%がその他の国の人々といった感じです。基本的には、毎年このくらいの比率を保っているようです。アメリカの学生がかなり多いのは、アメリカの影響力の大きさとアメリカからの寄付が多いことが関わっていると思われます。

 

2. プログラムのメリット

Schwarzman Scholarsには特に以下のような様々なメリットがあります。

2.1 手厚い金銭的/物理的支援

海外で修士を取ろうと思うとまず問題になるのは、お金だと思います。アメリカやイギリスで自費で大学院に行くと年間500万~1000万近くかかると言いますし、物価の安い中国でも修士を取るとなると数百万円は必要になります。ただ、Schwarzman Scholarsは全額奨学金プログラムとして、その学生にかなり包括的な金銭的/物理的支援をしてくれます。支援で受け取れるものは以下の通りです。

  1. 学費
  2. 全ての食事(Schwarzman College内のみ)
  3. 自分の住む場所と北京の間の往復航空券
  4. 中国内でのスタディーツアー
  5. 授業に必要な教材など
  6. 健康保険
  7. 自分で好きに使えるお小遣い(4000アメリカドル)

これだけの支援があれば、お金の使い方によっては、本当に「自分では一銭も出さずに海外で修士が取れる」かもしれません!

2.2 中国で世界トップクラスの教育

Schwarzman Scholarsがある清華大学は、中国国内では北京大学と1・2を争うとともに、アジア大学ランキングでは2位、世界大学ランキングでは30位です(World University Rankings 2018 by Times Higher Education)。ちなみに、現在中国トップの習近平氏も清華大学の出身です。その清華大学の中でも、特にアメリカを中心としたイニシアチブでつくられたSchwarzman Scholarsには非常に優秀な学生と講師陣が集まっています。中国の大学院の修士号は、どうしてもまだ国際的評価があまり高くないような印象がありますが、中国やアジアに関心のある人の間では世界的にかなり知られているSchwarzman Scholarsならそのような心配もいらないでしょう。また、学生のリーダーシップトレーニングにもかなり力を入れているようです。

2.3 世界中のあらゆるすごい人との友情+ネットワーク

必ずしも勉強的に優秀な人やいわゆる欧米のトップ校出身者を「すごい人」だとは思いませんが、確かにSchwarzman Scholarsのようなプログラムには単純に「すごいなー」と思わされるような人が多いと感じます。政治系・経済系・社会系・理科系など、様々な程度の様々なすごいがありますが、とにかくみんな何かしら「すごい」です。そのような人たちと友達になることは、自分の何かしらの目標や活動にも良い刺激になると思うし、将来的には良いネットワークとしてお互いに助け合えるかもしれません。また、優秀な講師陣や豪華なゲストスピーカー(例えばアメリカの元国務長官IMFの専務理事など)、アドバイザー、ドナーとも良い関係が築けるかもしれません。あとは、卒業後にSchwarzman Scholarsと清華大学の校友会の一員にもなれますね。

f:id:kazukiearth:20180818014609p:plain

豪華すぎるアドバイザーたち(一部のみ) | 参照: https://www.schwarzmanscholars.org/about/advisors/

2.4 中国への理解

わかるようでわからない国・変化が早い国・色々と色々な意味ですごい国・でも世界でどんどん重要になっている国=中国を、北京にある清華大学という最高の環境で直に体験し、学び、理解を深めることができます。ただ余談ですが、学生が住むSchwarzman Collegeはこのプログラムのために新たに綺麗にデザイン/整備されたもので、内部には自分の部屋や教室、図書館、食堂、ジム、ラウンジなど何でも揃っているそうです。そのため、建物が快適すぎてあまり外に行く気にならず、内部の「特別な空間」にとどまってしまいがちみたいなことを聞いたことがあります。笑 もちろん、人次第だとは思いますが、せっかく中国に行ったからにはよりローカルなこともいろいろ経験することで中国への理解を深めるのが効果的でしょう。

2.5 中国なのに1年で修士が取れる

本来、中国で修士を取るには2年〜3年の時間が必要とされています。しかし、そのような中国にあっても、Schwarzman Scholars なら1年間で修士を取ることができます。

2.6 中国や様々なトップ企業での仕事が見つけやすくなる

f:id:kazukiearth:20180818014610p:plain

第一期生卒業後の進路の一部 | 参照: https://www.schwarzmanscholars.org/admissions/faq/

Schwarzman Scholarsを通じて、中国で修士を取れる点や、中国や様々なトップ企業に関連するネットワークが築ける点、一定程度中国語ができるようになる点、中国への理解が豊富になる点、アイビーリーグ的な教育を受けれる点などから、中国での就職や各種トップ企業の仕事を見つけることが多少は容易になると考えられます。Schwarzman Scholars自体も、中国関連では最も著名な修士プログラムの一つなので、そのプログラムを修了したという経歴は、卒業後のキャリアで間違いなく武器となるでしょう。

3. Schwarzman Scholarsの奨学生と環境

f:id:kazukiearth:20180818014611j:plain

Schwarzman Scholarsの集合写真 | 参照: http://en.sc.tsinghua.edu.cn

世界中からの4000以上の応募から選ばれただけあって、奨学生には色々な「すごい人達」が集まっています。共通点としては、特に欧米のトップ大学をかなり良い成績で卒業したような人が多いのではないでしょうか。それに加えて/あるいは、働いたことがあるのであれば、それなりに名の通った一流企業に所属していたり、そうじゃなくても、自分で何かを立ち上げたり、何か目覚ましいことを達成したことのある人が多いと感じます。

中国で行われるエリート修士プログラムというだけあって、基本的にみんな何かしら「中国に関連する達成したい目標」があるはずです。それに向かって、奨学生はSchwarzman Scholarsとして中国にいる間や卒業後に、起業家や経営者、政治家、研究者、政府職員、国際機関職員、ビジネスマンなどとなっていくはずです。

まあとにかく、「すごい人達」が色々な面白いことに挑戦してるって感じです。

ただ、自分がこのようなSchwarzman Scholarsの環境で特に良いと思うところは(Yenching Academyも同じです)、一般的に「すごい」とされる人やコトがある意味「普通」のような認識で存在していることです。というのも、みんな「すごい大学」を出たり、「すごい会社」で働いたり、「すごい活動」をしていたりするので、それらがある意味このようなプログラムの中では「スタンダード=基本」になってしまっているためです。このような環境は、ある意味怖くもありますが笑、もし自分が何か高い目標を持っていてそれに本気で挑戦したいと思っているのであれば、最高のことだと思います。みんな何か高い目標や野望を持っていたり、実際に様々なことに挑戦していたりするので、そうでないことの方がむしろ浮くかもしれない環境、あるいは自分も何かに挑戦してみようと背中を押されるよう環境とも言えるかもしれません。色々なことを頑張っていると、よく日本では必ずしも良くない意味で「意識高い系」なんていう風に呼ばれたりしますが、このようなプログラムではそんな考え方が存在し得ません。だって、みんなある意味「超意識高い系」なんだから。笑 逆に、「意識低い系」なんて考え方のほうがあり得るかもしれません。笑

だから、Schwarzman Scholarsには(Yenching Academyも)、例えば、自分で立ち上げた企業を経営してたり、テレビに出てたり、様々な媒体で記事を書いてたり、何かすごい賞を受賞したりと、、色々な人がいるけど、すごいなーと思うだけでそれほど驚かなくなります。「まあ、あいつなんだからそういうこともあるよね」みたいな感覚です。そんな環境なら、自分ももっといろんなことに挑戦して頑張れそうじゃないですか?

 

4. どんな人に向いてる?

f:id:kazukiearth:20180818014612p:plain

「これからの将来をリードする人はいま中国を理解しなければならない」| 参照: https://usascholarships.com/schwarzman-scholars-program/

まず、「中国について何かしらの興味がある」ことが大前提です。その上で、以下のような人がSchwarzman Scholarsのようなプログラムに向いていると考えられるのではないでしょうか。

  1. (お金はないけど)中国で/海外で修士を取りたい人
  2. 何かしらのグローバルリーダーになりたい人
  3. 何か達成したい目標や野望がある人
  4. 1年間で修士を取りたい人
  5. 世界中の優秀な人と共に学びたい人
  6. 世界中の様々な人とネットワークを築きたい人
  7. 世界トップクラスの教育が受けたい人
  8. 中国への理解を深めたい人
  9. 挑戦的な環境に身を置きたい人
  10. これからもっと色々なことに挑戦して達成していきたい人

5. まとめ

f:id:kazukiearth:20180818014605j:plain

「21世紀において中国は必須科目である」| 参照: https://scholarshipfellow.com/schwarzman-scholarship-masters-programs-for-chinese-and-international-students/

わたしはSchwarzman Scholarsと特に直接関係があるわけではないですが、中国に興味がある一人としてこのプログラムは非常に魅力的だなと思ったのでまとめてみました!奨学金などの待遇も至れり尽くせりですしね...笑 ただ、もちろんとても人気で競争的なプログラムなので、今までまだ日本人が二人しか入れていません... ぜひこのような素晴らしいプログラムで、もっと多くの日本人にも活躍してほしいなと願っています。

次回は、Schwarzman Scholarsに挑戦してみようという人のために、Schwarzman Scholarsへの応募について、わたしの分かる限りで様々な情報やアドバイスをまとめます。わたしはSchwarzman Scholarsへの応募を経験していますし、Schwarzman Scholarsの友達にアドバイスももらっていたことがあるので、応募書類作成にあたって多少は参考になるかと思います。是非見てみてください!そして、応募されるなら頑張ってください!

[追記!!]

Schwarzman Scholarsへの応募に必要な情報やアドバイスをまとめました:

 

#中国 #留学 #大学院 #奨学金 #YenchingAcademy #イェンチンアカデミー #SchwarzmanScholars #シュワルツマンスカラー