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【留学経験記】北京大学Yenching Academyでの一年目の経験:第9期生 楢本珠貴

北京大学Yenching Academy第9期生 楢本珠貴さん(右から4人目)

中国と世界について英語で学ぶことができる全額奨学金修士プログラム:北京大学大学院燕京学堂(Yenching Academy: イェンチン・アカデミー)。中国に興味があったり中国で勉強したい海外の人の間では結構有名で実際に応募もいっぱいある一方、日本ではまだまだ知名度が低いです。そこで、Yenching Academyでは実際にどのような経験ができるのかについて、プログラムの現役日本人学生(第9期生)である楢本珠貴さんに実際の経験記をまとめてもらいました。プログラムに興味のある方は、ぜひ参考にしてみてください!

 

(以下の文章はYenching Academy第9期生の楢本珠貴さんが書いたものです)

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自己紹介

こんにちは!Yenching Academy 9期生の楢本珠貴と申します。YCAでは政治・国際関係の専攻です。私は高校まで日本で通い、高校卒業後に日本国内の大学に1年間在籍していましたが、一年次終了後に退学をし、オランダのライデン大学へ留学しました。ライデン大学では東アジア地域研究を専攻して学士号を取得しました。東アジア地域研究の中でも、特に日中関係について興味を持ち、第二外国語として中国語も勉強しました。また、毎年夏に開催されている日中学生会議に参加するなどしました。

学部在学中に中国への交換留学の機会を得るも、コロナウイルスの影響で留学は中止になってしまい、ずっと中国で国際関係を勉強してみたいという気持ちを抱いていました。しかし、自らの中国語力には自信がなく、英語で授業を受けることができるプログラムを探していました。そんな時にYCAについて知り、自分にぴったりだと思い応募しました。

 

Yenching Academyでの経験(1年目)

2023年秋学期

選択授業

  • Theory and Practice of Chinese Foreign Policy(2単位)
    • 中国の外務省にあたる外交部と交流のある教授が、中国の外交政策がどのような考えに基づいて作られているのか、どのようなアクターが外交政策に影響を与えるのか等について授業を行います。教授はとてもリベラルでオープンマインドな方で、中国で政治的に繊細な問題についても正直に話してくれます。学生との交流が非常に好きな教授で、授業中には学生からの質問に回答したり、学生と議論を交わしたりする様子が頻繁にあります。
  • Cultural Dimensions of Chinese Foreign Relations(2単位)
    • 中国と他の国の国際関係に文化的な面からアプローチするという授業です。教授はとてもフレンドリーな方で、学生との距離が近く、授業は和やかな明るい雰囲気です。国際関係を学んだことのない人にとっても受講しやすい授業である一方で、国際関係を専門としている私にとっては物足りなく感じる部分もありました。
  • Chinese Cultural Heritage Studies(2単位)
    • 中国の文化遺産についての授業で、複数の教授によって持ち回りで授業が行われる形式です。この授業は多くのフィールドトリップがあり、2泊3日で山西省の大同に行き、雲崗石窟遺跡などを見学しました。半日のフィールドトリップでは、北京市内の博物館や円明園に行きました。考古学が専門の教授の解説を聞きながら文化遺産を訪れることができるのが魅力の授業です。
  • フィールドトリップ:山西省大同

雲崗石窟遺跡

仏塔の前でクラスの集合写真
  • Critical Conceptions of Chinese Thoughts(2単位)
    • 中国独特の伝統的な思想について、中国の古典を引用しながら哲学の教授が解説してくれます。中国の伝統的な思想は現代を生きる中国人のマインドセットにも大きな影響を与えているため、中国伝統思想を学ぶことで現代の中国社会への深い理解を促してくれます。教授はとても優しい方で、中国哲学を学んだことがない人にとっても受講しやすい授業です。

天気が良く、外で授業をした時の様子

必修授業

  • China in Transition 1(3単位)
  • Topics in China Studies Lecture Series(通年で2単位)
  • Chinese 1(2単位)
  • Field Study(3単位)

 

2024年春学期

選択授業

  • Prospect and Retrospect of Chinese International Cooperation(3単位)
    • 国連での勤務経験を持つ教授が、中国政府の国際開発協力への関わり方について議論します。アカデミックな内容と教授の国連時代のリアルな経験談の両方を聞くことができる授業です。国際協力のキャリアを歩んでいるYCA卒業生が授業に参加してくださり、実際の業務やキャリアパスについて学生から質問することができました。また、アジア開発銀行(ADB)の北京オフィスへのフィールドワークも行い、オフィスで働く方々に直接お話を伺うことができました。
  • Understanding Social Inequality(2単位)
    • 中国社会における不平等(性別、教育、民族など)について学ぶ授業です。毎回の授業の前半は学生による該当の週のリーディングについてのプレゼンテーション、後半は教授のレクチャーというような構成でした。教授は比較的若く、授業はかなりカジュアルな雰囲気で、教授と学生の間の議論が活発だった印象。
  • Chinese Politics and Diplomacy(3単位)
    • この授業は北京大学の国際学院(School of International Studies)のもので、YCAではない北京大学に留学に来ている学生たちと一緒に受講しました。教授は中国の外交部での勤務経験がある若い方で、そのコネクションを活かして中国の元外交官やジャーナリストなどをゲストスピーカーに招いて授業が行われました。しかし、元外交官の方々は話せることがかなり限られている印象で、学生の質問に対して曖昧な返答をして論点を変えるような場面も見られました。授業では中国側の目線が強く取り入れられており、興味深い内容でした。

必修授業

  • China in Transition 2(3単位)
  • Topics in China Studies Lecture Series(通年で2単位)
  • Chinese 2(2単位)

 その他(課外活動・学校行事・生活・個人活動など)

  • 北京大学Bai Xian Scholarsのフィールドトリップ(2024年1月)
    • 北京大学のBai Xian Scholars(※百賢アジア研究院(Bai Xian Asia Institute)から奨学金をもらっている奨学生)のための吉林省長春への3日間のフィールドトリップに参加しました。長春満洲国の首都であったこともあり、日本人として歴史的に学ぶことが多くありました。また、極寒である冬の中国東北に足を運び、マイナス20度の中で氷祭りを楽しんだのは良い思い出です。

雪祭りで雪壁にはまった
  • Young Ambassador’s Programに参加(2024年2月〜3月)
    • 日中韓三国協力事務局主催、中国の広西省南寧市にある広西大学で日中韓ASEANの学生が集まる2週間のプログラムに参加。日中韓ASEANの東アジアの東南アジアの地域協力についてグループで議論し、政策提案のプレゼンテーションを行いました。2週間を通して参加学生同士の仲が深まり、大切な友人ができたことも思い出の一つです。

参加者全体の集合写真

  • Bai Xian Project Award(2024年3月〜)
    • 私は百賢アジア研究院(Bai Xian Asia Institute)から奨学金をもらっているBai Xian Scholarの1人です。Bai Xian Scholarの特徴として、YCA外でも豊富な機会を享受できます。その一環としてBai Xian Scholar主導のプロジェクトが対象の選考にYCAのクラスメイトと研究グループを作り参加し、選考を勝ち抜き$4,000の研究資金をいただきました。研究資金を使ってフィールドトリップに赴き、インタビューを行い、授業外での研究経験を積むことができました。
    • ※Yenching Academyは百賢アジア研究院が支援するパートナー大学のひとつなので、Yenching Scholarの一部は同時にBai Xian Scholarにも選ばれています。
  • BXAIサマープログラム(2024年8月)
    • Bai Xian Asia Instituteは全ての奨学生を対象に毎年夏にSummer Campを開催しており、上海交通大学がホスト大学を務めた2023年度の開催地は上海となりました。日中韓を中心としたアジアの優秀な学生たちと2週間にわたって様々な活動に参加しました。

グループメンバーと

 

YCA一年目の振り返り

YCAの一年目は、新たな人との出会いで溢れていたと感じます。YCAでの出会いはもちろんですが、Bai Xian Scholarとして、Young Ambassador’s Programの参加者として、YCAのみならず北京大学内やアジア各国の学生と交流できたことは非常に貴重な機会でした。また、学期中は授業とフィールドトリップに時間を費やすことが多かったですが、長期休みや学期中の大型連休には友人と共に中国国内やアジア諸国への旅行も楽しむことができました。YCAの一年目は素敵な人たちとの出会いに溢れた、忙しいながらも充実した時間でした!

 

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<参考記事>

kazukiearth.hatenadiary.jp

 

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