こんにちは!Yenching Academy 9期生の楢本珠貴と申します。YCAでは政治・国際関係の専攻です。私は高校まで日本で通い、高校卒業後に日本国内の大学に1年間在籍していましたが、一年次終了後に退学をし、オランダのライデン大学へ留学しました。ライデン大学では東アジア地域研究を専攻して学士号を取得しました。東アジア地域研究の中でも、特に日中関係について興味を持ち、第二外国語として中国語も勉強しました。また、毎年夏に開催されている日中学生会議に参加するなどしました。
この授業は北京大学の国際学院(School of International Studies)のもので、YCAではない北京大学に留学に来ている学生たちと一緒に受講しました。教授は中国の外交部での勤務経験がある若い方で、そのコネクションを活かして中国の元外交官やジャーナリストなどをゲストスピーカーに招いて授業が行われました。しかし、元外交官の方々は話せることがかなり限られている印象で、学生の質問に対して曖昧な返答をして論点を変えるような場面も見られました。授業では中国側の目線が強く取り入れられており、興味深い内容でした。
必修授業
China in Transition 2(3単位)
Topics in China Studies Lecture Series(通年で2単位)
Chinese 2(2単位)
その他(課外活動・学校行事・生活・個人活動など)
北京大学Bai Xian Scholarsのフィールドトリップ(2024年1月)
北京大学のBai Xian Scholars(※百賢アジア研究院(Bai Xian Asia Institute)から奨学金をもらっている奨学生)のための吉林省長春への3日間のフィールドトリップに参加しました。長春は満洲国の首都であったこともあり、日本人として歴史的に学ぶことが多くありました。また、極寒である冬の中国東北に足を運び、マイナス20度の中で氷祭りを楽しんだのは良い思い出です。
取る授業の内容によって、YCAでの経験は大きく分かれます。授業によっては、フィールドトリップとして北京にある大手企業見学をしたり、北京から飛び出して歴史的建造物・地域の生活などを先生の詳しい説明を聞きながら見て回ったりすることもできます。私は個人的に、北京以外の色々な中国を見てみたいという願望もあり、こういったことも考慮して授業を選択しました。また、私は全てYCAのクラスを取りましたが、interdisciplinary program と呼ぶだけあって、YCAで取れるクラスは事前に専門知識を特に求めないものが多いです。しかし、YCAの生徒として北京大学の他の学院のクラスも取ることが可能なので、より自分の専門に特化したクラスを取ることも可能です。(その場合、授業言語が英語とは限らないので注意が必要です。)
後ほど、また詳しく記述したいと思いますが、YGS(Yenching Global Symposium)という毎年春に開催されるYCAの学生主体の中国に関するカンファレンスの運営組織に入り、カンファレンスの企画・実行等に携わったため、特に11月ごろから4月頭のカンファレンス実施までたくさん時間を割きました。
Asian Development Bank 訪問 (Retrospect and Prospect of International Development Cooperation in China) ―5月中・日帰り
企業訪問(The Economic Thinking of Chinese Entrepreneurs)―全3回・日帰り
百度Baidu Apolloパーク(無人タクシー体験)
楽普医療(Lepu Medical)
京東 (JD.com)
〇その他(課外活動・中国での生活・旅行など)
YGS (Yenching Global Symposium)
YGSとはYenching Global Symposiumの略で毎年、YCAの生徒以外にも世界中から100名ほどの選抜された代表者(学生や若手社会人など)と共に3日から4日にわたり中国に関する様々な議論を行うカンファレンスで、YCAの活動の中で一番規模が大きいイベントです。学生主体で行うので、上の写真の約20名弱で企画から実行まですべて担当しました。2024年度のYGSのテーマは「Equilibrium:Our World in Balance」で科学+文化、文化+自然、自然+テックといった分野で著名なスピーカーを招待し、それぞれの分野で中国に関連した議論を繰り広げました。
私はDirector of Social Programming として中国人のパートナーとの2人で講義イベント以外のソーシャルイベント全体を担当し、企画・手配・実行などを11月から4月にかけての6か月間かけて準備しました。主に企画したイベントは、中国文化体験(計8種類)、崑曲パフォーマンス、YCA卒業生を招いたネットワーキングイベント、北京首鋼パーク訪問などです。
*IELTSとTOEFL、Cambridgeのスコアに関しては、Yenching Academyにスコアが直接送付されるものしか受け付けられないので、試験を申し込む際にスコアの送付先として"Yenching Academy of Peking Univesity"を指定しなければならない。TOEFLの場合、Institution codeはC488。
*HPでは、年齢制限に関して“The Yenching Academy does not have a strict age cut-off for applicants, but in general, no person over the age of 28 has been admitted to the program. The average age of students entering the program is 23.” と公式に回答されています。上記のように実際には28歳以上の方も入学されているので、あくまで一つの目安と考えるとよいでしょう。 https://yenchingacademy.pku.edu.cn/ADMISSIONS/Frequently_Asked_Questions.htm
Statement of Research Interest (研究関心表明書: 1500単語以下)
Curriculum Vitae (履歴書)
Official transcript(s) (成績証明書: 原本が英語あるいは中国語でない場合は、原本のコピーと正式な英語への翻訳版を提出)
Two letters of recommendation (推薦書: 2通)
Diploma(s) or Certificate(s) of Enrollment (学位記あるいは在籍証明書: 原本が英語あるいは中国語でない場合は、原本のコピーと正式な英語への翻訳版を提出)
International English proficiency test score (英語試験のスコア: 応募にはIELTS: 7.0点以上、TOEFL IBT: 100点以上、Cambridge: 180点以上、CEFR: C1、TEM4: "良好"かそれ以上のレベルをパス、CET6: Overall 600点以上が必要) *IELTSとTOEFL、Cambridgeのスコアに関しては、Yenching Academyにスコアが直接送付されるものしか受け付けられないので、試験を申し込む際にスコアの送付先として"Yenching Academy of Peking Univesity"を指定しなければならない。TOEFLの場合、Institution codeはC488。*英語で行われる学位プログラムを修了している場合はスコアの提出が免除される
志望動機で特に重要なのは、「なぜYenching Academyがあなたの目指すものと重なっているのか」(Why is your goal in line with the Yenching Academy?)ということをわかりやすく説明して、選考者たちに「あなたの目標のためにはYenching Academyが必要だ」と信じこませることでしょう。このポイントが抜けていたり、あなたの目標がプログラムと重なっていないのであれば、合格することは極めて難しいでしょう。なので、どんなにめちゃくちゃ優秀な人でも、プログラムと関連性が全然なければ合格するのは難しいでしょう。なぜ「あなたの目標のためにはYenching Academyが必要だ」と信じこませることがそんなに重要なのかというと、結局このようなプログラムには多くの非常に優秀な人たちが応募します。そして、みんな「このプログラムに行きたい」と言います。だからこそ、ただ自分は行きたいという希望を伝えるだけではなく、じゃあ実際になんで自分がそこに行く必要があるのかということを説得する必要があります。また、Personal Statementを書くときは、ただ単に志望動機を書くのではなく、個人的な経歴をうまく使って志望動機にストーリー性を持たせると良いと思います。750字まで書くことができるので、過去・現在・未来についてわかりやすく大事なポイントを記述しつつ志望動機を仕上げることが重要でしょう。
Statement of Research Interest (研究関心表明書: 最長1500単語)
まず、本書類はあくまでStatement of Research Interest、つまり研究計画書や提案書ではなく、あくまで「研究関心」の表明です。そのため、どのようなことを研究してみたいかということをはっきり表明することが第一の目的となります。一方、Personal StatementのポイントはIntroduction of yourself。つまり、これとStatement of Research Interestの双方を使って、応募者はPersonal Statementで自分自身(Life story)について説明する一方、自分の学術的な側面について説明することができます。Statement of Research Interestが近年追加されたのは、YCAが応募者の学術的な部分をより重視するようになった証左でもあります。具体的には、応募者が学術的関心をまず有しているか(言い換えればYCAに来てまじめに勉強・研究する気があるのか)、加えて一定程度の能力を有しているのか(=関連の知識があるか、思考・議論ができるか等)、研究分野がYCAに適しているのか等、このような点を探りたいのだと思われます。
自分のPersonalな部分とAcademicな部分を、Personal StatementとStatement of Research Interestで説明できるようになった今、その二つにしっかりとした相乗効果と関連性を持たせることが重要でしょう。つまり、Personal Statementで「あなたはどんな人物で、何をしてきて、今はどこにいて、これから(YCAの先に)何を達成していきたい」を伝えると同時に、Statement of Research Interestでは「(Personal Statementに書いた内容)だからこそ、どういった背景から、何を研究したい。そのためには、何などの方法で研究をしたいと考えている」のように、二つのつながりを意識して書くとより説得的・効果的でしょう。逆にいうと、Personal StatementとStatement of Research Interestに書いている内容の関連性が薄かったり齟齬があったりすると、よくわからない弱い応募書類になってしまうでしょう。
ここでも自分がどのような点をアピールしたいか、特にPersonal StatementやStatement of Research Interestとの関係で考える必要があります。たとえば、この二つに書いてあることを補強するような経験、もしくは両者で詳しく触れられなかったけど自分のアピールにつながりそうな経験を書くとよいでしょう。
奨学生はプログラムが提供している学際的な領域から自らの関心に合った専攻を選びChina Studies(中国学)の修士号を修めます。専攻できる領域は以下の6つです:Politics and International Relations(政治学と国際関係学)、Philosophy and Religion(哲学と宗教学)、Literature and Culture(文学と文化学)、Law and Society(法律学と社会学)、History and Archeology(歴史学と考古学)、Economics and Management(経済学と経営学)。例えば、Politics and International Relations(政治学と国際関係学)を専攻として選んだとすると、China Studies(中国学)の中でPolitics and International Relations(政治学と国際関係学)について学ぶということになります。イメージ的には中国の政治と国際関係を学ぶといった感じです。他の専攻についても同様です。
Yenching Academyがある北京大学は、中国国内では清華大学と1・2を争うとともに、アジア大学ランキングで1位、世界大学ランキングでは14位です(QS World University Rankings 2024)。ちなみに、中国の前首相である李克強氏も北京大学の出身です。その北京大学の中でも、Yenching Academyには非常に優秀な学生と講師陣が集まっています。中国の大学院の修士号は、どうしてもまだ国際的評価があまり高くないような印象がありますが、中国やアジアに関心のある人の間では有名なYenching Academyならそのような心配もいらないかもしれません。
2.3 世界中のあらゆるすごい人との友情+ネットワーク
必ずしも勉強的に優秀な人やいわゆる欧米のトップ校出身者を「すごい人」だとは思いませんが、確かにYenching Academyのようなプログラムには単純に「すごいなー」と思わされるような人が多いと感じます。政治系・経済系・社会系・理科系など、様々な程度の様々なすごいがありますが、とにかくいろいろと「すごい」です。笑 そのような人たちと友達になることは、自分の何かしらの目標や活動にも良い刺激になると思うし、将来的には良いネットワークとしてお互いに助け合えるかもしれません。また、優秀な講師陣や豪華なゲストスピーカーなどとも良い関係が築けるかもしれません。さらに、Yenching Academyが開催する国際シンポジウム(Yenching Global Symposium)を通じて世界中の多くの中国研究者/関係者などと交流することもできます。あとは、卒業後にYenching Academyや北京大学の校友会の一員にもなれますね。
例えば、Yenching Academyが年に一回開催している国際シンポジウム(Yenching Global Symposium)では、世界中の多くの中国研究者/関係者などと議論や交流をすることができます。また、一学期に一回は中国国内での研修旅行があり、北京以外の都市での様々な経験も通じて中国という国を観察し理解することができます。今のところ、毎年第一学期には西安に行っているようです。また、どの学期でも、授業によってはその一貫として内容に関連する場所に学生を連れて行ってくれることもあります。例えば、中国のベンチャーに関する授業で上海や深センに行くなんてこともあります。さらに、リーダーシップ養成講座のような内部/外部のプログラムを受講させてもらえることもあります。
2.5 履修する授業を柔軟に選べる
学部でも修士でも、基本的に多くの学生は自分の専攻や所属に従って履修できる授業が多かれ少なかれ制限されると思いますが、Yenching Academyでは学際的な教育を重視しているため、履修する授業をかなり柔軟に選ぶことができます。まず、Yenching Academyは英語で行われる修士プログラムですが、中国語ができる奨学生はYenching Academy内の英語で行われる授業だけではなく、北京大学の様々な大学院の中国語で行われる授業も取ることができます。もちろん、英語で行われる北京大学の様々な大学院の授業も取ることができます。これらの場合に加え、Yenching Academy内でも、自分の専攻以外の授業も柔軟に履修することができます。例えば、私はPolitics and International Relations(政治学と国際関係学)の専攻ですが、経済方面の授業である中国の起業についての授業も履修しています。確かに、闇雲に様々な授業を取っていては、どれも一貫性のない広く浅い知識にとどまってしまいそうですが、自分がしっかりと目的を持って効果的に選択すれば、この授業履修の柔軟性はとても良いものでしょう。